国連大学国際講座

JFUNUニュースレター2008年9月号より

国連のシンクタンクである国連大学(UNU) には、通常の大学と違って恒常的な学生はいません。その代わりに世界各国の大学院生や学部卒業生等の若い人たちを対象として、ICウェブサイト大学院レベルの多様な人材育成プログラム(Capacity Development ) を世界各地で展開しています。

『国連大学国際講座』(UNU International Courses:略称IC)は、東京のUNU 本部が2000年から実施している研修講座のひとつ。将来、国連機関やNGO を含めた各種の国際機関の職員を目指す人々や、国際問題に深い関心を持った学生等を対象として、「紛争」や「人権」、「開発」、「環境」等をテーマに、毎年地球規模の課題に焦点をあてた4つのコースを設定。それぞれ理論と実践の両面から見識を深め、実践的な能力を備えた人材の育成を目指しています。

グローバルな問題を理論と実践から考察

第9回となる2008年度ICは、5月12日から6月20日まで東京・渋谷の国連大学本部で行われました。今年度開設されたのは、『新たなる地球規模の課題とガバナンス』『環境変化に対するリスク管理』『グローバル化と多国間システム』『国際貿易と開発』の4コース。ICプレゼンテーション世界37カ国から57名が参加し、国内外の学者・研究者をはじめ、大使館員や国連職員、政治家など30名あまりの多彩な顔ぶれの講師陣が授業を担当しました。

初日に開講式とウェルカムパーティーが催され、6週間にわたる研修がスタート。各コースとも1回90分の授業が週に3回(セッション)、6週間で合計18セッションが行われました(受講生は希望すれば2コースまで選択可能。各コースの授業は重複しないように時間割が編成されている)。カリキュラムは、UNU本部と世界各地にあるUNUの研究・研修センターで実施されるさまざまな研究プロジェクトに関連する内容を中心とし、高い学術レベルで進められました。

どの授業も事前に必読文献等の課題が与えられ、受講生には、単に出席するだけでなく、ディスカッションやディベートを通じて授業への積極的な参加が求められます。講師陣と直に議論し、毎週の授業が終わると、その週の講義内容やディスカッションに基づいてレポートを提出。また与えられたテーマからひとつを選択し、最終論文を完成させました。こうした受講生の研究活動を、UNU学術部門の研究者がコースコーディネーター、カウンセラーとしてサポートしました。

最終週の授業では、受講生は5-6名のグループに分かれ、それまでの学習成果を発表。各コースにおいて選ばれた1組ずつ合計4組が、最終日の"Student's Final Presentation" に臨み、関係者、ゲストも含めて100名あまりの聴衆を前に、研修成果を披露。その後、修了式でUNU 学長のサイン入りの修了証を受け取り、2008年度ICは終了しました。

 

 IC受講生の声

パトリック・ムサさん家喜志真さん

ICを受講するには

応募要領例年10月に翌年度の募集要領が公表される。受講希望者は、卒業大学の学業成績表、TOEFL得点表と推薦状(3名)が必要。提出書類は推薦状を含めてすべて英文。例年1月上旬が申込締切。書類は国連大学のウェブサイトからダウンロードできる。2008 年度の競争率は約5倍だった。

受講者選考IC選考委員会が主に次の基準で決定する。▽学歴、職歴と受講希望コースとの関連性およびレベル▽応募者が希望するコースと将来目指す職業との関連性▽地球規模の諸問題に対する応募者の関心度▽分析能力▽大学の成績・専門領域における実績▽英語力

受講料1コースが10万円(約1,000米ドル)、2コース同時に受講する場合は合計で15万円(約1,500 米ドル)。

奨学金途上国出身者で、財政援助が必要な受講者には全額給付または部分給付の奨学金が用意されている。2コースを受講している者の中から、学業成績と財政援助の必要性を基準として決定される。奨学生には、宿泊費、旅費、日々の経費が給付されるが、受講料は2コースとも自己負担となる。

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