国連大学国際講座-受講生の声(2)

JFUNUニュースレター2008年9月号より

一番の財産はヒューマンネットワーク

あっという間の6週間でした。 ― 今年(2008年)のIC の3 人の日本人参加者のうちのひとり、家喜志真(いえき・しま)さんは、最終日のファイナルプレゼンテーションでの発表を前に、jfUNU の取材に語ってくれました。

家喜さんは、家喜志真さん今年3月に東北大学大学院を修了。東北大学では世界各国から多くの外国人留学生が学んでいますが、家喜さんが専攻していた大学院経済学研究科のゼミ(経営政策(大滝精一教授))でも、10人のゼミ生のうち7人が中国人留学生でした。

「彼らの圧倒的なハングリー精神や問題意識の高さに接しているうちに、外国の文化や国際交流に関心が湧き、課外活動としていろいろな国際交流プロジェクトやイベントを学内で企画するようになりました。」

「私はjfUNU の賛助会員なのですが、送られてくる資料を通じて国連大学のICについて知りました。大学院修了後は東京のIT コンサルティングの企業(フューチャーアーキテクト(株))への就職が決まっていましたが、会社の7月入社制度を利用して、ぜひ受講してみようと思いたったのです。」

大学院時代、経営政策を研究テーマのひとつとしていた家喜さんは、今年のICの4 つのコースのうち、「国際貿易と開 発」の受講を希望。応募にあたっては、志望理由を自分の専攻やキャリアと関連づけながら英文で記述する必要があり、家喜さんにとって簡単な作業ではありませんでしたが、書き上げた後に友人の留学生のチェックも受けるなどして提出。見事選考を突破しました。

「外国留学の経験もないので英語のハンデを痛感しましたが、宿舎(※参加者たちは最初の5週間は東京・代々木の「国立オリンピック記念青少年総合センター」に宿泊)で他の参加者から、施設の利用方法や日常生活の質問や相談を受けたりしているうちに、彼らと親しくなることができ、英語も耳になじんできました。」

ICプレゼンテーション「初回にいきなり膨大な量の英文の資料や課題文献が与えられ、授業までにそれらを読みこまなければなりません。さらに講義後、毎週テーマを決めてレポートを提出することが義務づけられています。最初のうちは授業の内容を十分に消化しきれないまま書いていたので、『単なる講義のレビューではなく、もっと焦点を絞って書くように』などのコメントが付いて返されたりしていました。」

「授業では、国際貿易における貿易ルールや知的財産権の問題など経済的な側面のみならず、法的な問題からのアプローチも多く勉強になりました。最終論文では人的資源の流通の問題を取り上げ、高等教育を受けた発展途上国の人々が、先進国で働くことが多い現状に疑問を投げ、そうした人々が故国で活躍・貢献できる機会や環境を創出することが重要であるという提言を具体的に行いました。」

IC 参加者は、オフタイムには日本での生活をエンジョイすることにも意欲的で、授業のない週末に浅草や京都に観光に出かける人もいたとか。家喜さんもアフリカ料理を味わうグルメツアーを企画して、有志で出かけたそうです。

実は講座期間中にご親族の不幸があり、一時実家に戻っていた家喜さんですが、その間もプレゼンテーショングループの仲間が、メールや電話で様子を尋ねてきたり、授業の内容を報告してくれたりしたそうです。

 

「この講座を通じて得られた一番の財産は、ヒューマンネットワークです。仙台生まれで仙台育ちの私にとって、37にも及ぶ世界各国からの参加者、そしてそれぞれの多様な問題意識に触れられたことは、とても刺激的でした。良い仲間に恵まれ、彼らと出会えたことが一番の成果でもあります。今後もずっと連絡を取り合っていきたいと思っています。IC は、学部生には少しハードルが高い内容かもしれませんが、目的意識の強い大学院生や企業に勤める社会人が再び学ぶ機会として、とても有意義な体験になると思います。」

 

 IC受講生の声

パトリック・ムサさん家喜志真さん

ICのオフタイム

課外プログラム・イベント鎌倉観光・朝霞基地見学・歌舞伎見学・横浜クルージング等。その他、各自、夜の渋谷や六本木に繰り出すこと多々?

ホームステイプログラム期間中、希望する受講生は1泊2日の日程で日本人家庭にホームステイする。今年は5月16日(金)から18日(日)にかけて実施。ホームステイ期間中のプログラムは、各家庭に委ねられている。

受講生の感想から「異なる人々、異なる体験、異なるバックグラウンドの人々と共にいられたことを誇りに思います。」「イベント、授業、講義、教授陣。すべてが素晴らしかった。まるで10年前から準備されていたように思えた。」「教授陣との交流が素晴らしかった。扉はいつもオープンで、どんなことでも質問でき、いつでも快よく応じてもらえた。」「日本人家庭でのホームステイは、このプログラムのひとつのハイライトでした。日本の家庭や豊かな文化を知ることができました。」「素晴らしい体験でした。寿司、納豆の味も含めて」「ここで出会った素晴らしい人たちと、ずっと交流を続けていきたい。」

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