国連大学ライブラリー
JFUNUニュースレター2007年7月号より
国連大学本部2階にあるUNUライブラリーは、研究情報センターとして、国連大学職員、研究者、UNUが主催する国際講座参加者等に参考図書・研究書・雑誌・統計、そして多種電子情報を提供しています。こうした情報・資料の宝庫ともいえるUNUライブラリーの利用方法について、室長の松木麻弥子さんにお話を伺いました。
国連資料の幅広い普及と情報発信
UNUライブラリーでは、国連大学が使命とする国連憲章の目的に即した研究、大学院レベルの研修を支援するための蔵書と情報源構築を目指しています。選書重点テーマは国際機構と平和構築、環境と持続する開発、開発と科学技術などで、現在の所蔵資料数は約35,000冊、逐次刊行物は320誌、電子ジャーナル多数、統計データベース、1946年以降の国連公文書、国際連盟公文書、国連大学出版物等を、国連大学の職務用語である英語文献や情報を中心に収集しています。
また、国連大学研究ネットワーク機関で発行された出版物・報告書、国連機関出版物・報告書、さらに外部諸組織発行物も備え、一般公開もしています。
ライブラリー内左奥スペースは「国連ドキュメンテーション・サービス」になっています。2002年より国連広報センター(UNIC)と協力して、国連文書・出版物の共同収集、整備、公開、参考調査業務を行っているほか、資料検索ガイダンス(日英)、安保理資料ガイダンスなど、数多くの企画を実施し、国連資料の幅広い普及と情報発信に努めています。
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90年代半ばから、インターネットの急速な普及によって、各種資料や文献がパソコンから自在に閲覧できる環境が進み、図書館の機能と役割が転機を迎えました。あちらこちらで「図書館不要論」さえ口にされ、さまざまな図書館が情報化社会に即したサービスを探求し始めました。
求める資料や情報を特定できるサポートを
国連本部でも93年以降、公文書はすべて電子化し、関連する資料も含めてその公開に積極的に努めてきたため、重要な文書のほとんどをネット上で見られるようになりました。
松木室長
しかしそうした状況の中で、インターネットで検索しても思うような手がかりが得られないというケースも多くあります。本格的な研究・調査を進めるためには、主要な資料とともに、それに連なる関連文献や出版物を調べることが必要となってきますが、実際にライブラリーに足を運んでいただくことで、求めている資料そのものや、漠然としていた情報を特定することができると考えています。
例えば、ある新聞社経済部記者の方から「富の分配」について統計資料はないか、という質問がありました。求めている内容を確認すると、昨年12 月に国連大学世界経済研究所が発表した「家計資産の世界分布」という研究報告が役に立つように思われました。この報告書へのリンクをご案内し、こちらの役割は終了しました。しばらくしましたら、その方から「記事が掲載されました」というご連絡があり、統計の一部が活用された掲載記事が送付されてきました。こちらでは、利用者の求める資料や情報に、最も適した内容を特定し、提供できるサポートを目指しています。
また、例えば国連女性会議の設立経緯やアクションプランを調査するという場合に、インターネットで自由語検索をし、情報を得ることができます。しかし、国連がどのように女性会議を開催するに至ったか、何を議題に何が決定されたか、1975年第1回のメキシコ市での会議以降の国連公文書や報告書から調べることを支援し、データベースやその使い方をお知らせすることができます。
実際にこちらへ足を運べない地域に居住の方に対しては、電話、手紙、Eメール、FAXでのご相談にも応じています。近隣にいなければ利用価値がないというのでは、国連機関図書館としての役割を果たせないと思っています。さらに、UNUライブラリーでは、図書館間協力・連携も重視しています。専門図書館協議会の一員として、協力関係を築いていますし、北海道から沖縄まで設置されている国内14の国連寄託図書館との連携、また職員研修なども国連広報センターが積極的に行っています。国連寄託図書館は国連公文書や刊行物を受入れ、所蔵し、地域の人々に公開していますが、国連文章や資料をより多くの方に利用・活用していただけることを目指しています。(寄託図書館の詳細はhttp://www.unic.or.jp/link/libra.htmをご参照ください。)
このライブラリーには、研究者や民間企業、NGO関係者、学生の方など日本人、外国人を問わず多彩な顔ぶれの方々が来館されます。地方に住んでいる方で、上京した折に必ず足を運んでいただくという方もいらっしゃいます。
各種ガイダンスも実施
いずれにせよ、より多くの方々に国連大学に立ち寄っていただき、UNUライブラリーをご利用いただきたいと思っていますが、その一環として、外部の方々を対象とした各種ガイダンスを開催しています。例えば、千葉県柏市の市民講座の方50人ほどをお招きし、国連大学活動とともに、関係資料のご紹介、国連大学ゼロ・エミッション・フォーラム坂本先生の講義など、見学会と併せて実施したこともあります。学生対象の利用ガイダンス、情報検索研修セミナーなども実施しています。
また、小中高生向けの資料やお子さん向けの絵本、ビデオなども多く公開しています。今、地球上で問題になっていることやその解決に向けた国連の取り組みを、堅苦しくなく学ぶことができます。学校の先生で、国連のことを生徒たちにどう教えたらよいかという場合に、役立つ資料をご案内することもできると思います。事前にお問い合わせいただければ、ご要望に応じた内容でガイダンスやセミナーを企画させていただきます。
UNUライブラリーへのアクセス
UNUライブラリーの概要
(詳細はウェブサイト で確認してください)
ライブラリー利用方法
UNU ライブラリーをご利用の場合には、UN ハウス1階正面受付にて、入館カードを受け取り、入館時間内に入館してください。閲覧のみの利用になりますが、国連大学協力会賛助会員の方は、ライブラリー内図書の貸出が可能です。国内に居住の方であれば、郵送での貸出も可能です。下記までお問い合わせください。貸出の際には、会員証をご用意ください。
開館日月曜日-金曜日(但し休館日を除きます。)
開館時間10:00-13:00、14:00-17:30
連絡先TEL: 03-5467-1359(ライブラリーデスク)、TEL: 03-5467-1305( 国連ドキュメンテーションセンター)、E-mail:mailto:[email protected]
URL: http://www.unu.edu/hq/japanese/library-j.htm
ガイダンスへご参加ください
UNUライブラリーと国連広報センターでは、下記のガイダンスを実施しています。皆様奮ってご参加ください。日程等の詳細は、http://www.unic.or.jp/unic/guidances/ に掲載されていますのでご確認ください。お申込み、お問合せは国連ドキュメンテーションセンター(TEL03-5467-1305かFAX03-3499-8272)まで。
国連資料検索ガイダンス国連は紙媒体やマルティメディア、インターネットによって、どんな情報資料や公式文書を作成・発行し、またアクセスを可能にしているのか、個人として、どこ まで入手できるのか、「国連/ 国連文書に関する基礎知識」、「インターネット検索ツール」、「国連ウェブサイト / 上手な使い方」の3部構成で実施します。
ライブラリー講座毎回特定のテーマを設け、講師を招いてどなたでもご参加いただけるセミナーを開催しています。毎回先着50名程度。
安保理ガイダンス国連の主要機関のひとつである安全保障理事会に焦点を当て、その資料と調査の方法についてご案内します。実際に公式文書やその他の資料を手にとりながら、安保理/安保理資料の全体像を理解します。各回先着8名。
国連統計ナビ人口、経済、貿易、薬物、女性、子どもなど、国連は様々な統計資料を出しています。統計年鑑、人口年鑑、統計月報などの統計出版物はよく知られていますが、その他にも、国連事務局や各機関が各種テーマの下に出版した統計資料のなかに、非常に有益な統計を載せたものがたくさんあります。また最近では、国連のホームページの中で、役立つ統計データを比較的容易に調べられるようになっています。国連統計ナビでは、こうした出版物やホームページをご案内します。
夏休み/子ども対象・ライブラリー・ツアー夏休み恒例の子ども対象ライブラリー・ツアー。国連や様々な地球的問題に興味、関心があるという方はぜひご参加ください。親子でご一緒の参加も歓迎。7月下旬-8月下旬。