国連大学とは
国連大学の使命と目的
国連大学の使命と目的は、国連大学憲章に定められていますが、特に下記の基本姿勢が掲げられています。
国際連合憲章の目的を追求し、原則を促進するための研究活動、大学院レベルの人材育成活動、および知識の普及活動を行う。
国連および国際専門機関が関心を寄せる、人類の存続、発展および福祉にかかわる緊急かつ世界的な問題(Global Issue)について研究を行う。また、その問題の解決にたずさわる若い人材の育成に努める。
特に、開発途上国の深刻な問題に力を注ぐ。
世界各国におかれる研究・研修センター、研究・研修プログラムのネットワークを通して、その目的の実現を図る。
国連大学ができるまで
1969 年、ウ・タント元国連事務総長が「真に国際的な性格を有し、国連憲章が定める平和と進歩の諸目的に合致する国際連合の大学」の必要性を訴え、1970年、その構想実現へ向けて当時の佐藤栄作首相が積極的な支援を行うことを約束しました。
そして、日本政府は国連に対して、国連大学の設立とその後の運営のために設けられる国連大学基金に1億ドルを拠出すること、さらに首都圏に恒久的本部施設を無償で供与することなどを確約し、その結果、1975 年に国連大学本部が東京に設置されました。現在、東京青山に国連大学の本部が、横浜に国連大学高等研究所が設置されています。
また、2009年の第64回国連総会において「国連大学憲章」を改正したうえで、2010年秋より国連大学大学院修士課程「サステイナビリティと平和研究科」を本部ビル内に創設。地球規模の課題解決のための本格的な人材育成に着手しています。
1969年 | ウ・タント国連事務総長、第24回国連総会で「国連大学の創設」を提唱 |
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1970年 | 佐藤栄作首相、ウ・タント事務総長に国連大学への協力を表明 |
1972年 | 第27回国連総会で国連大学設立決議。日本政府、国連総会で、日本への招致と1億ドル拠出を表明 |
1973年 | 第28回国連総会で、「国連大学憲章」採択 |
1975年 | 東京に国連大学本部設置、渋谷に暫定施設(東邦生命ビル内) |
1992年 | 東京・青山に国連大学本部ビル完成 |
1995年 | 本部施設隣接地に高等研究所開設 |
2004年 | 高等研究所、横浜に移転 |
2009年 | 国連大学本部に「サステイナビリティと平和研究所」設置 第64回国連総会で「国連大学憲章」を改正し、国連大学が修士及び博士の学位の授与機能を有することを明記 |
2010年 | 国連大学本部に「大学院サステイナビリティと平和研究科」創設 |
歴代学長と出身国
国連大学の学長は、指名委員会委員による候補者推薦に基づき、ユネスコ事務局長と協議したうえで国連事務総長が任命します。学長の任期は通常5年ですが、さらに5年間再任されることがあります。
第1代 | 1975-1980 | ジェイムス・ヘスター | アメリカ |
第2代 | 1980-1987 | スジャトモコ | インドネシア |
第3代 | 1987-1997 | グルグリーノ・デソウザ | ブラジル |
第4代 | 1997-2007 | ハンス・ファン・ヒンケル | オランダ |
第5代 | 2007-2013 | コンラッド・オスターヴァルダー | スイス |
第6代 | 2013- | デイビッド・マローン | カナダ |
国連大学の運営組織
国連大学の研究活動や人材育成活動等についての基本的運営方針や計画は、国連大学理事会が審議・決定しています。
国連大学理事会は、各国からの24名の理事と国連事務総長等4名の職務上の理事の計28名で構成され、我が国からは、現在、阿部信康元スイス大使がメンバーのひとりとなっています(任期:2010年-2016年)。
国連機関としての国連大学
国連は、総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所および事務局の6つの主要機関で構成されていますが、国連大学は総会の補助機関として位置づけられています。